episode 7 西田洋介
ヨーク堂の一件以降、全く洋介を相手にしなくなった。
同じクラスの赤坂、堀田、岩口の3人と毎日の様に遊んでいた。
4人で熱中したのはプラモデル作り。
デコトラ、お城、戦闘機、戦車、様々なジャンルのプラモデルにハマっていた。
みんなで情報を交換しながら互いにプラモデル作りを競う様に作っていた。
ただ作るだけから塗装、改造、とオリジナリティも競うようになっていた。
裕福な家庭では無かったが、お小遣い制では無く、お手伝い制の収入を俺は得ていた。
学校が終わり家に帰ると夕方4時に両親の営む飲食店まで行き、その日に必要な仕込み素材の買い出しを一回50円でやっていた。
今みたいに総合的なスーパーは無く、近所のお肉屋さん、八百屋さん、酒屋さんを自転車で回り買い出しをしていた。
魚を扱う店では無かったので魚屋さんには親父のツマミを買いに行くくらいだった。
それを毎日、繰り返していた。
多い時は鶏ガラ5kgや野菜で前カゴが一杯になりフラつく事も多々あった。
それを貯めてプラモデルを購入し、作っていたのだ。
一時、戦艦に全員がハマり、各々好みの戦艦を作り近所の公園のジャブジャブ池と呼ばれていた水遊びが出来る場所で戦艦を浮かせて遊んでいた。
隙間から浸水して見る見るうちに沈んで行く。
すると我先にと防水加工したり、隙間を埋めたりと自然とスキルアップして行っていた。
そして辿り着いたのは防水モーターを戦艦の下にくっつけての体当たり合戦。
しかし、洋介がその公園に来ると、避ける様に俺は帰っていた。
ある日、洋介がまた来てプラモデルの作り方を教えてくれと来た。
外に行かなければトラブルに巻き込まれないと思い、教える様になった。
先ずは俺が作るのを、説明書に従って作業を見せた。
工程2を洋介にやらせてみたが、説明書が理解出来ない。
とスグに諦めて作業を辞めて帰った。
想定内だったので怒りは無かったが、逆に単純過ぎて呆れた感じだった。
そして6年になったある日
また洋介が来た。新たな展開がそこに待っていた。