episode3 西田洋介
明くる日、いつも通りに学校へ行き、
いつも通りに1日を終えようとしていた。
しかし、俺の小学校生活を奈落の底に
突き落とす事件が起きた。
原因はチョコレート。
そう、前日に洋介から貰ったチョコレート。
全ての授業が終わり、帰りの前のホームルームの時間に事件は起きた。
先生が「みんなからは何かありますか?」
との問いかけに洋介は手を挙げた。
「はい、西田くん」と先生が指すと洋介は
「昨日、秋咲くんがコモダショピングセンターでチョコレートを万引きしました」
と突然言い放った。
「万引き」という言葉さえ意味がわからない小学低学年の俺を含めたクラスメイト。
驚きの表情を隠せない先生。
しかし、その表情からクラスメイトや俺は、悪い事をしたんだと雰囲気で掴んだ。
訳が分からない俺。
「何言ってんの?洋介」と俺が問い詰めても先生やクラスメイトの冷たい視線が俺を襲う。
「秋咲くんと西田くん以外は帰りなさい」
と先生が言い、皆帰っていった。
残された俺と洋介は親が呼ばれるまで、先生に事情を聞かれた。
俺は俺の主張を続けたが、先に言った者勝ちみたいな感じになっていて誤解は解けなかった。
洋介の親は学校から家が近いからスグに来たが、俺の親は事情があり中々学校に来れなかった。
結局、洋介の「犯行」と先生は納得してくれたが、俺は洋介の言動を許すことが出来なくて、その日を境に洋介と遊ぶ事を辞めた。
しかし、明くる日のクラスメイトの態度は想像以上に冷たかった。
授業中はもちろん、休み時間、給食の時間も誰も話をしてくれなくなった。
学校が終わっても誰も遊んでくれなくなった。
やはり、子供から親に伝わる言葉では説明不足になるので「俺が万引きをした」と言う議題だけが伝わり、俺と遊んではいけない。
喋ってはいけないと言われていたらしい。
孤立せざる得ない状況を打破するには、知識が無さすぎた。
そうして俺は小学校低学年にして学校に行かなくなった。
不登校児になった。