episode 5 西田洋介
3年生になってからは平穏過ぎて、ほとんど記憶が無い。
ただ担任の女性教諭が、どうしても好きになれなかった。
授業内容も厳しく統制されていた。
また辛抱の時期が来てしまった。
そして5年生に進級する。
今、思えば
この男との出会いが俺の人生を左右する、1番大きな出会いとなったと思う。
クラス替えで同じクラスになった
大野英二
オランダからの帰国子女だった。
2年生の時に日本に帰ってきていたらしいが、クラスが一緒にならなかったから存在さえも知らなかった。
5年生になると遊び方も、行動範囲も広くなり毎日、毎日遊び呆けていた。
マンガや映画トラック野郎のデコトラ、車、お城のプラモデルを作ったり、野球やドッジボールと普通の小学生だった。
5年生になるとクラブ部活動もあり、委員会活動も始まる。
俺はマンガクラブと放送委員会に入った。
絵を描くのは好きだったし、コロコロやジャンプを読んでいたので自分でもマンガを書けたらいいなぁと軽い気持ちで入ったが、ただ読みふけるだけのマンガクラブだった。
マンガやイラストの基本的な書き方っぽいのは教わった気がする。
放送委員会は、給食の時間に全校生徒に向けての和やかな放送をする委員会だった。
良く言えばお昼のDJを日替わりで担当する形だった。
企画を考えて、みんなで意見を出し合い放送内容を決めていた。
それなりに楽しめていた。
そんな毎日を過ごしていると、また奴が来た。
洋介だ。
関わりたく無い気持ちが強かったが、今度は普通な提案をしてきた。
それぞれの兄が所属していた少年野球チームに入って野球をやろうと。
俺の小学校は少年野球チームの活動が活発で、野球好きな子はどこかのチームにほぼ入っていた。
小学生の部と中学生の部。
それぞれの兄達が抜けてしまった為に、そのチームの存続が危ういという事情もあり入る事にした。
ユニフォームは勿論、お下がりだ。
野球は好きだったので抵抗は無かったが
洋介は驚くほどに運動神経が悪く下手くそで、あっという間に弱小チームになった。
そもそも洋介は運動しても大丈夫だったのかと今になって思う。