日本一心
アレから8年もの時が過ぎた。
当日、俺は広島市内で営業の仕事をしていた。
ラジオから流れる地震速報。
途中、番組を中断しての地震情報に切り替わった。
東北と東京で大地震。
何気なく聴いていたがアナウンサーの異様な雰囲気を感じ尋常では無いと思った。
会社の近くに居たので、とりあえず会社に戻った。
事務の人たちがテレビに釘付けになっていた。
同じ日本で起こっている現象と理解するのに時間が掛かった。
押し寄せる大波。逃げ惑う走行車両。
画面越しにも事の重大さを感じた。
東京のツレに連絡を試みたが携帯は一切繋がらない。実母や兄弟は関東に居る。
普段は連絡なんて取り合う間柄では無いが、流石に連絡を試みた。しかし一切繋がらない。
時が経つにつれ被害の状況がわかってきた。
正に天災。
その後の仕事は放棄して、とりあえずは身内の安否だけは知りたかった。
携帯が繋がらないので公衆電話に人々が殺到してるとニュースで流れて居たので固定電話に掛けてみた。
案の定、固定電話は繋がった。
幸いにも身内もツレも無事だった。
自宅に戻りテレビから流れる映像を見る度に本当に日本で起きている事なのかと思っていた。
阪神淡路大震災より被害が甚大なのは見て取れた。
人は何故に生まれ死んで行くのか
生きたいのに生きれない方もいれば
死にたくないのに死んでしまう。
自ら死を選択する方。
儘にならないのが人生なのは当たり前だが愛する人たちを失うのは刹那い。
それが生き別れでも死別でも。
「はるかの向日葵」でも感じたが、やはり日常の平穏なことに感謝しなければならない。
感情に任せて行動して、二度と会えなくなると思うと少しでも悔いなくするには笑顔と挨拶は大事だと尚更思う。
2万2千余りの魂が安らかに眠って頂けたらと切に願う。
先月、本宅に帰った時に流れで俺が簡単な料理をする事になった。
食材を用意して道具を準備して、コンロの火をつけようとしたら何度やっても火がつかない。
おかしいなと思っていたら彼女が横から
「ガスの元栓が開いてないよ」と。
一瞬、何で?と思ったがスグに理解した。
言葉には出さなかったが。
彼女は阪神淡路大震災を体験している。
故に普段からの備えが大事だと改めて教えてもらった。
毎日を過ごせる事に感謝しよう